ボツリヌス療法(注射薬)について

はじめに
このページは、ワキの多汗症の治療でボツリヌス療法を検討している方*・そのご家族の方を対象に、治療のために大切な情報をまとめています。
*ボツリヌス療法はワキの多汗症(原発性腋窩多汗症)の中でも重度の方が対象となる治療法です。
注射
ボツリヌス療法とは
ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌がつくる天然のタンパク質を有効成分とするお薬をワキの下に注射する治療法です。このお薬が、交感神経から伝達される汗を出す信号をブロックし、過剰な発汗を抑えます。
暑い、緊張しているなどと脳が感じると、汗を出す信号が汗腺を刺激し、汗が出ます。/ボツリヌス療法を行うと汗を出す信号がブロックされ、発汗が抑えられます。
治療による効果
発汗を抑える効果は通常、治療後2~3日であらわれ、効果は約4~9か月*持続します。効果の程度や持続期間には個人差があります。完治を目指す治療法ではありませんので、症状が再びあらわれたときには、あらためて治療を行います。

*大嶋雄一郎ほか:西日本皮膚科, 75 (4): 357-364, 2013
治療による副作用

注射後、まれに次のような副作用を生じることがあります。多くは一時的なものですが、程度が強い場合など、気になるときには医師に相談してください。

  • 注射部位が赤くなった、はれた、痛む
  • からだがだるい
  • ワキ以外の部位で汗が増えた
ボツリヌス療法についてのよくあるご質問

健康保険が適用された場合のボツリヌス療法の治療費はどのくらいですか?

医師により重度の原発性腋窩多汗症と診断され治療を受ける場合、健康保険が適用されます。治療費は注射をする頻度によって異なります。効果は4~9か月程度持続します*ので、例えば年に1回の注射を継続する場合、年間3万円程度(3割負担の場合)の負担となります。これに、初診料なども加算されます(医療機関により異なる)。

*大嶋雄一郎ほか:西日本皮膚科, 75 (4): 357-364, 2013

ボツリヌス菌に感染する心配はないのですか?

使用するのはボツリヌス菌がつくるタンパク質から精製された薬であり、ボツリヌス菌そのものを注射するわけではありませんので、感染の心配はありません。

ボツリヌス療法の海外やワキ汗以外の適応症での使用状況はどのような感じなのでしょうか?

ボツリヌス療法は1989年以降、世界80カ国以上で認可されており、日本でも1997年以降、まぶたや顔面のけいれん、脳卒中後の手足の筋肉のつっぱりなど、ワキの多汗症以外の治療にも広くつかわれており、10万人以上*の患者さんがこの薬による治療を受けています。(2015年11月現在)

*社内データより推計

ワキ汗のボツリヌス療法でつかわれる注射薬の日本での承認状況はどうなっていますか?

ワキ汗のボツリヌス療法に使用されるボツリヌストキシン製剤には、2012年に重度の原発性腋窩多汗症の治療に保険適応が認められた承認薬があります。

個人輸入された製剤による治療について注意点はありますか?

一般に医師による個人輸入は、「(1)治療上緊急性がある」「(2)国内に代替品が流通していない」「(3)自己の責任の下、自己の患者の診断または治療のために使用する」というすべての条件に当てはまる場合にのみ認められています。
「重度の原発性腋窩多汗症」の治療については、国内に承認薬があり、(2)の条件に当てはまらないため、個人輸入は原則として認められません。
また、万が一、個人輸入したボツリヌストキシン製剤による多汗症治療で健康被害が起こった場合には公的制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象となりませんのでご注意ください。